未翻訳ブックレビュー

世界の本への窓 by 植田かもめ

みんな嘘つき - 検索データの新科学

Everybody Lies: The New York Times Bestseller

2017/09/18 初出
2018/02/09 日本語版発売につき更新
「誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性」
→2017年のベストにも挙げた本なのでご一読を。

 

人に言えない秘密でも、グーグルになら言えるはず。

 

本書"Everybody Lies: Big Data, New Data, and What the Internet Can Tell Us About Who We Really Are"は、元グーグルのデータサイエンティストであるSeth Stephens-Davidowitz(以下ダヴィドウィッツ)による初の著書である。

 

タイトルを訳すと「みんな嘘つき:ビッグデータ、新しいデータ、そしてインターネットが教える本当の私たち」

 

ダヴィドウィッツの語り口は洒脱で軽妙だ。データサイエンスがテーマである本書の「あとがき」を"How many people finish books?"(何人が本を最後まで読むのか?)と題していて笑った。でも、グーグルトレンドなどオンライン上のデータを用いて彼が分析する対象は重いテーマが多い。性的嗜好、人種差別、人工中絶、うつ病など。なぜなら、こうした領域の調査ではみんな嘘をついているからだ。

 

目次

  • 人が調査に嘘をつくとき
  • 検索ウインドウは教会の懺悔室
  • 失業者が求職サイトより検索するもの
  • 社会科学は本当の科学になるか

 

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理性は誤解されている - The Enigma of Reason by Hugo Mercier, Dan Sperber

The Enigma of Reason

 

人間は”予想通りに不合理”に行動する。

でも、なぜ?

 

ともにフランスの認知科学者であるユーゴ・メルシエとダン・スペルベルは、本書"The Enigma of Reason"(理性の謎)で、人間の理性とは何かを見直す。

 

まだ2月だけど2018年ベストの一つに選ぶだろう本。

 

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逃げれば過去とも向き合える - The Glass Castle by Jeanette Walls

The Glass Castle (English Edition)

Jeanette Walls - The Glass Castle

 

ニューヨークで芸能系ニュースの記者・編集者として働くジャネット・ウォールズは、ある女性がゴミ箱を漁っているのを見つける。それは彼女の母親だった・・

 

両親との思い出と葛藤を綴った自伝的ノンフィクションを入り口に、何かから「逃げてもよいとき」についてこの記事では考えてみる。

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俺のグラミー/アカデミー/ピュリッツァー賞2017

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毎年恒例、年に一度の自己満足の祭典。
俺のグラミー/アカデミー/ピュリッツァー賞。

 

2017年に管理人が気に入った音楽と映画と本を紹介する。今年で早くも3回目。ではどうぞ。

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