未翻訳ブックレビュー

世界の本への窓 by 植田かもめ

2018年ベスト小説 - クッツェー「マイケル・K」

Life and Times of Michael K: A Novel (English Edition)

マイケル・K (岩波文庫)

 

この記事で言いたいこと

土のように優しく生きようとする人間にとっては、賞賛も暴力になる。

クッツェーの小説「マイケル・K」は、感情語や装飾表現を「焼き払った」文章で、個人の流転と自由を描いた傑作。

目次

  • 2018年ベスト小説
  • ざっとあらすじ
  • 描写うますぎ
  • 賞賛も暴力になる
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お金より時間より大事なリソース - 21 Lessons for the 21st Century by Yuval Noah Harari

21 Lessons for the 21st Century

 

この記事で言いたいこと

ユヴァル・ノア・ハラリは、毎日2時間、瞑想するらしい。

アテンション(注意、注目)は、現代で最も希少で重要なリソースだ。

誰もが瞑想したがっているわけじゃないけれど、自分でアテンションをコントロールするのが大事。

目次

  • ただ、観察せよ("Just Observe")
  • アテンションというリソース
  • 正気という「第三の道」
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【寄稿連載更新】中国のAI開発について2018年の決定版

AI Superpowers: China, Silicon Valley, and the New World Order

 

タトル・モリエイジェンシーさんが世界の本棚からお薦めを紹介する「翻訳書ときどき洋書」への寄稿連載、更新しました。

 

グーグル中国法人*1の代表などを歴任したカイフー・リーの本を紹介しています。中国のAI開発について、断片的なwebニュースは多いと思いますが、これは網羅的な本として現時点で手に入る決定版です!邦訳も期待大。

 

*1:グーグルは最近も中国向けの検索プロジェクトで話題ですが・・

グーグルの中国向け検索プロジェクトと、監視社会の実験台にされるウイグル人 - CNET Japan

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自分を大きく見せるためじゃない自分語り - 「悲しくてかっこいい人」 by イ・ラン

悲しくてかっこいい人

イ・ラン(Lang Lee) - 悲しくてかっこいい人

 

韓国の自由で気高い魂、

シンガーソングライターのイ・ランのエッセイ集。

 

セカンドアルバムの「神様ごっこ」(名作!)を聴いて以来、彼女の表現世界がとても好きで、ミランダ・ジュライと並べた記事を以前に書いたりした↓ 

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【いいウソ、あります】エトガル・ケレットのドキュメンタリー「ホントの話」

 

日本での劇場公開や動画配信は未定。でもめちゃくちゃ面白かったドキュメンタリー「エトガル・ケレット ホントの話」(Etgar Keret - Based on a true story)を紹介したい。

 

先に言いたいことを書いておくとこんな感じ。世の中には「悪いウソ」を使うのが上手い人が多い。それはファクトを無視して人気を得る政治家だったり、差別的な情報を捏造する人だったり。そんな「悪いウソ」に対して、学者やジャーナリストたちは「真実」で闘うのだと思う。でも、作家やアーティストは「良いウソ」で闘うのではないだろうか。

 

目次 

  • エトガル・ケレット「ホントの話」日本初上映
  • 人はなぜ物語る
  • 良い作家とは
  • おまけ
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【番外】時差別の人口という考え方、あと88rising

Head In The Clouds [Explicit]

 

書評じゃない小ネタ記事。

世界で一番人口の多い「時間帯」はどのタイムゾーンかご存知だろうか。

 

目次

  • 文明のタイムゾーン史観?
  • 88risingとは
  • ネットのギミックをブランドに変える
  • おまけ:その他のタイムゾーン
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