未翻訳ブックレビュー

世界の本への窓 by 植田かもめ

SCIENCE & TECHNOLOGY

【寄稿連載更新】美の進化

note「翻訳書ときどき洋書」内の連載、更新しています。

【寄稿連載更新】「なぜ」の本 - 原因と結果の新しい科学

note「翻訳書ときどき洋書」内の寄稿連載、更新しました! 「コンピューター科学者にしてパートタイムの哲学者」と自称するジュディア・パールの本、"The Book of Why"を紹介しています。 なぜ人は「なぜ」という疑問を持てるのか。 前回紹介した"Factfulnes…

数字を見たらとにかく割ろう - "Factfulness"の教えの具体例

以下の連載で紹介したハンス・ロスリング著"Factfulness"(ファクトフルネス)に関するスピンオフ記事。

変わるのは火星か人間か - How We'll Live on Mars by Stephen Petranek

How We'll Live on Mars (TED Books) (English Edition)作者: Stephen Petranek 第二次世界大戦終結から6年後の1951年、"Das Marsprojekt"(The Mars Project)というドイツ語で書かれた小冊子がアメリカで発行された。レイ・ブラッドベリによる1950年作「火…

寝なくて平気は自覚がないだけ - Why We Sleep by Matthew Walker

わかっちゃいるけど寝てられない。 そんな人が読むべき本。 神経科学者で心理学者のマシュー・ウォーカーによる本書"Why We Sleep"は、睡眠の重要性を詳述する。睡眠不足は認知能力の低下を招くだけでなく、肥満や高血圧から免疫不全や癌まで健康上のリスク…

なんかもう当たり前みたいになってるけど、Facebookのデータと広告だけで人の行動を変えられるのすごくないか

この記事はケンブリッジ・アナリティカ事件への雑感。 上にリンクした英ガーディアンの記事と、昨年2017年に私的ベストに挙げた”Everybody Lies”(日本語版「誰もが嘘をついている」発売中)という本を材料にして考える。 言いたいことはタイトルの通り。こ…

ある敗北の記録 - もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来 by yomoyomo

もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来 このブログにとっては先輩でありネタ元でありパクリ元である存在のyomoyomoさんが2017年末に発売した電子書籍。ネットの現在と未来について、WirelessWire Newsの連載コラムを再構成したも…

みんな嘘つき - 検索データの新科学

2017/09/18 初出 2018/02/09 日本語版発売につき更新「誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性」→2017年のベストにも挙げた本なのでご一読を。 人に言えない秘密でも、グーグルになら言えるはず。 本書"Everybody Lies: Big Data, New…

理性は誤解されている - The Enigma of Reason by Hugo Mercier, Dan Sperber

人間は”予想通りに不合理”に行動する。 でも、なぜ? ともにフランスの認知科学者であるユーゴ・メルシエとダン・スペルベルは、本書"The Enigma of Reason"(理性の謎)で、人間の理性とは何かを見直す。 まだ2月だけど2018年ベストの一つに選ぶだろう本。

センス・オブ・ワンダーの最新地図 - A New Map of Wonders by Casper Henderson

「アップルパイを作りたいなら、まずは宇宙を創造しないと」(カール・セーガン) "If you want to make an apple pie, said the astronomer Carl Sagan, you must first invent the universe. " 何かに驚いて感動する。そんな「センス・オブ・ワンダー」を…

一般向け機械学習本の決定版 - The Master Algorithm by Pedro Domingos

Pedro Domingos - The Master Algorithm このブログで何回も名前を出しているユヴァル・ノア・ハラリ「ホモ・デウス」は、人間の全ての活動はアルゴリズムにいずれ置き換え可能だろうと説く本だった。 ハラリはさらにそれを歴史の文脈に位置付ける。神が中心…

ちょっと今から人間やめてくる -「すごい物理学講義」とホモ・デウスの話

Carlo Rovelli - Reality Is Not What It Seems: The Journey to Quantum Gravity カルロ・ロヴェッリ - すごい物理学講義 人間が人間であることはなんてすばらしくて、人間が人間でしかないことはなんてショボいのだろう。 以前「未来が見える未訳本カタロ…

想像力は無限ではない? ファスト&スローを書かせた理論と友情 - The Undoing Project by Michael Lewis

2017/01/22 初出 2017/07/07 日本語版発売につき更新 マイケル・ルイス「かくて行動経済学は生まれり」として2017/7/14発売 The Undoing Project: A Friendship that Changed the World ある男がいたとする。彼は90歳近い高齢で、癌が全身に転移している。助…

AIは人間に興味がない - To Be a Machine by Marc O'Connell

Marc O'Connell - To be a Machine: Adventures Among Cyborgs, Utopians, Hackers, and the Futurists Solving the Modest Problem of Death 「人間は最適化されていないシステム(suboptimal system)だ」 身体のサイボーグ化、脳の冷凍保存、意識のアップ…

データが正義を殺すとき。'数学'破壊兵器とは - Weapons of Math Destruction by Cathy O'Neil

2018/5/9 追記 寄稿連載「植田かもめの『いま世界にいる本たち』」でも本書を取り上げました! 翻訳版「あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠」が2018/6/13に発売! Weapons of Math Destruction: How Big Data Increases Inequality and T…

宇宙船を編む(中学英語で) - Thing Explainer by Randall Munroe

2016/04/09 初出 2016/11/23 日本語版発売につき更新 ランドール・マンロー「ホワット・イズ・ディス?:むずかしいことをシンプルに言ってみた」として発売(yomoyomoさんの記事で知った。いつもありがとうございます) Randall Munroe "Thing Explainer: Com…

「ブロックチェーンは'93年のインターネットと同じ状況にある」- Blockchain Revolution by Don Tapscott

2016/07/19 初出 2016/12/25 日本語版発売につき更新 *ドン・タプスコット「ブロックチェーン・レボリューション ―ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか」として発売 Blockchain Revolution: How the Technology Be…

ヒトになった猿は神へと進化する - Sapiens: A Brief History of Humankind by Yuval Noah Harari

2016/01/24 初出 2016/07/05 日本語版発売につき更新 *ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」として2016/09/08発売 Sapiens: A Brief History of Humankind 作者: Yuval Noah Harari ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」を超える本、と煽られて…

宇宙人に人類史を教えるための7+1冊:Sapiensから広げるブックリスト

ひとつ前にアップした記事↑の関連エントリ。 ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス」は、取るに足らないチンパンジーの一種だった人間が地球の支配者になれた要因は何だったのかを語る本だ。生物進化や経済やテクノロジーなど広範な領域について言及するこ…

続・コミュニケーションに悩む全ての人にオススメの作家 - On the Move: A Life by Oliver Sacks

ひとつ前の記事↓で紹介した、神経科医で作家のオリヴァー・サックスの自伝に関する話の続き。 前の記事にも少し書いたけれど、自閉症などの神経障害患者が単なる治療対象としか見られていなかった70年代や80年代に、オリヴァー・サックスは彼らの内面と向き…

コミュニケーションに悩む全ての人にオススメの作家 - On the Move: A Life by Oliver Sacks

On the Move: A Life 作者: Oliver Sacks 発売日: 2015/04/28 年末になるとメディア上に「今年亡くなった人々」という記事が出たりする。神経科医で作家のオリヴァー・サックスも今年亡くなったうちの一人だ。本書"On the Move: A Life"は、2015年の8月にが…

(犯罪の)未来は今 - Future Crimes by Marc Goodman

たとえば家に空き巣に入られるのと、アップル/グーグル/アマゾン/フェイスブック/ツイッターのアカウントを全て乗っ取られるのはどちらが嫌だろうか。サンフランシスコ在住のマット・ホーナンは、後者に近い事態を経験した。・・・IoT(モノのインターネット…