未翻訳ブックレビュー

Lost-In-Translation Book Review. 日本語版発売を待たずに本を紹介するページです

2017年の未翻訳ブックレビュー

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前の記事に続いて今年(2017年)のまとめ。

 

だいたい月に1冊のペースで未訳本(や翻訳本)を紹介してきたので、過去記事を数珠つなぎに振り返ってみる。

 

今年は雑誌サイゾーにて、映像化されそうな未訳小説を紹介したりもした↓

 

ブログでは雑多な本を紹介してきたけど、年間を通じたぼんやりしたテーマとして「人間中心主義の終わり」について考えてきた。

 

これは2016年にユヴァル・ノア・ハラリの「ホモ・デウス」(18年夏に日本語版出るらしい)を読んでからずっと頭にあるコンセプトで、「すごい物理学講義」(英題Reality Is Not What It Seems)を紹介したときにまとめてみた↓

 

ハラリは「知性は必須だけど意識はオプションに過ぎない」と語る。私にとっての人間中心主義の終わりとは、「いまの人間の知性が、知性の唯一のあり方であるわけがない」という前提を受け容れること。「AIに仕事を奪われる」とか「AIが人間を追い越す」といった言い回しをよく聞いた2017年だったけど、その発想が既に(いまの)人間中心主義で矮小だとも感じてしまう。

 

だって、そもそも「AIは人間に興味がない」のだし↓ 

「何を自動化するかを自動化する」マスター・アルゴリズムがあれば見てみたいし↓

スマホをやめるくらいならセックスをやめる人が増えるのも不思議じゃないし↓

一方で、「人工知能(artificial intelligence)ではない、自然の愚かさ(natural stupidity)」こそが人間の面白さであり↓

人間以外の存在を畏怖するセンス・オブ・ワンダーの感覚を持つのが人間の特徴でもあるのだ↓

だから、人間だけが特異な=シンギュラーな存在ではなく、若手に道を譲るベテランアスリートのように、幼年期の終わりのように、自分たちを超える存在の誕生をホモ・サピエンスは見守るべき。それがAIであっても、ホモ・デウス(「神のヒト」の意味)であっても。同じような話を、シミルボンの豊崎由美コラム大賞にも投稿した↓ 

 

そんなわけで、テクノロジーが人間や社会をどう変えるかには定常的に興味があって、データサイエンティストが著者である以下の2冊はどちらも今年ベスト級の面白さだった↓

 

ついでに、同一人物の4バージョンの人生が順繰りに語られるポール・オースター「4321」を読んだときには、個人の人生も、無数に存在する可能性のひとつに過ぎないんじゃないか、という感覚を抱いた↓

 

オースター以外にも小説や人文系の本は年間で何冊か紹介していて、このブログでは一番の推し作家のひとりであるイーユン・リーの初エッセイ本は相変わらず素晴らしかったし↓ 

今年知ってよかった作家にはテジュ・コールがいたり↓

カズオ・イシグロをノーベル賞受賞を機にミーハーに読んだら最高だったり↓

ロクサーヌ・ゲイやタナハシ・コーツや「若きムスリムへの手紙」なんかで多様性について考えたり↓

「ディストピアものが流行るというディストピア」な2017年で「アメリカン・ウォー」に戦慄したりもしたけれど↓ 

 

結局、自分の好みとしては、エレガントで笑える文章の本が一番好きで、以下の2冊はどっちもドンピシャだった↓

 

・・以上、2017年の個人的な好奇心の航行記録、終わり。

 

今年も読んでくれた方ありがとうございます。更新頻度は相変わらず低いだろうけれど、「書くことは失敗すること」だから↓これからも自由に失敗を重ねていきたいと思いますので、来年もたまに遊びに来てください。

 

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