世界全体があなたを愛する楽園 - 村田沙耶香「消滅世界」
「LGBTは子どもを産まないため生産性がなく、彼らに税金を投入するのはおかしい」という主旨の寄稿をした国会議員がいた。
この意見は差別だし真っ当な反論は各所でされている。でも、その議員には別の質問もしてみたい。もし次のように訊いたら、なんと答えるだろう。
「たしかにLGBTって生産性がないですよね。でも、ヘテロの男女家族も、生産性低くないですか?だから、人工授精の研究を進めて、家族とか結婚とか関係なく子どもが生まれる、生産性の高い社会を目指しませんか?」
村田沙耶香の小説「消滅世界」は、そんな「高い生産性」が実現した社会の物語である。2018年の7月に文庫化されて読んだらめちゃくちゃ面白かったので、これは同書の紹介と、考えたことについての記事。
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【寄稿連載更新】「なぜ」の本 - 原因と結果の新しい科学
note「翻訳書ときどき洋書」内の寄稿連載、更新しました!
「コンピューター科学者にしてパートタイムの哲学者」と自称するジュディア・パールの本、"The Book of Why"を紹介しています。
なぜ人は「なぜ」という疑問を持てるのか。
前回紹介した"Factfulness"に続いて、今年ベスト級の本なので是非記事をご一読ください。
なお、本書の存在はyomoyomoさんの以下の記事で知りました。
邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2018年版) - YAMDAS現更新履歴
The Book of Why: The New Science of Cause and Effect (English Edition)
- 作者: Judea Pearl,Dana Mackenzie
- 出版社/メーカー: Basic Books
- 発売日: 2018/05/15
- メディア: Kindle版
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【和訳】ユヴァル・ノア・ハラリが語る、ゲイであること(そして科学研究で大事なこと)
続きを読む2018.9.29追記:
「ユヴァル・ノア・ハラリ」で検索してこのページにアクセスする方が多いので、ハラリ関連の過去記事まとめを末尾に作りました。当記事とあわせてぜひどうぞ。