未翻訳ブックレビュー

Lost In Bookish Rambles. 日本語版発売を待たずに本を紹介するページです

【抄訳と雑感】ゼイディー・スミスがSNSを遠ざける理由

 

小ネタ記事。

 

英国の作家ゼイディー・スミスがソーシャルメディアについて語った英ガーディアン誌の記事を抄訳した。管理人の雑感付き。短いので、気に入ったらぜひ原記事も読んでいただきたい。ではどうぞ。

 

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みんな嘘つき - 検索データの新科学

Everybody Lies: The New York Times Bestseller

 

人に言えない秘密もグーグルには言える。

 

本書"Everybody Lies: Big Data, New Data, and What the Internet Can Tell Us About Who We Really Are"は、元グーグルのデータサイエンティストであるSeth Stephens-Davidowitz(以下ダヴィドウィッツ)による初の著書である。タイトルを訳すと「みんな嘘つき:ビッグデータ、新しいデータ、そしてインターネットが教える本当の私たち」となる。

 

データ科学がテーマである本書のあとがきを"How many people finish books?"(何人が本を最後まで読むのか?)と題したり、ダヴィドウィッツの語り口は洒脱で軽妙だ。でも、グーグルトレンドなどオンライン上のデータを用いて彼が分析する対象は、性的嗜好、人種差別、人工中絶、うつ病などの重いテーマが多い。それは、こうした領域の調査ではみんな嘘をついているからだ。

 

目次

  • 人が調査に嘘をつくとき
  • 検索ウインドウは教会の懺悔室
  • 新しいデータ科学の効用
  • まとめ:社会科学は本当の科学になるか

 

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失敗していいよと言ってくれる会社 - An Everyone Culture by Robert Kegan and Lisa Laskow Lahey

An Everyone Culture: Becoming a Deliberately Developmental Organization

An Everyone Culture: Becoming a Deliberately Developmental Organization

 

2016/09/11 初出

2017/09/01 日本語版発売につき更新

ロバート・キーガン、 リサ・ラスコウ・レイヒー「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか 」として2017/8/7発売

 

組織に属する多くの人間は、本来の仕事とは別に、誰もお金を払ってくれないもうひとつの仕事をしている。自分の弱点を隠し、周囲からよく見られるように振る舞うという仕事だ。

 

もし、膨大なリソースを奪っているこの仕事から個人を解放できたらどうなるだろう。ハーバード大教授のロバート・キーガンとリサ・レイヒーが本書で提唱する新しい組織のあり方、それがDDO = Deliberately Developmental Organizationである。

 

DDOの適切な訳語は分からないけれど「自発的に成長する組織」としておく(2017.9.1追記。日本語版では「発達指向型組織」と訳出)。業種の異なる3社のケース・スタディを中心に、本書はそのコンセプトを説明する。

 

DDOとは何か。いきなりだけど、はっきりした定義はない。DDOは組織形態でも社内制度でもITシステムでもなく、カルチャーだからだ。個人が最も成長するときに、組織も最も繁栄する。そう信じるカルチャーである。

 

目次

  • DDOの構成要素:Edge, Home, Groove 
  • でも、儲からないんじゃないの?
  • 技術的な課題と適応を要する課題
  • 幸福とは状態ではなく成長のプロセス
  • 「御社の社風にひかれました」

 

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【和訳】フランク・オーシャンの夏への愛を語る / Summer Remains

CHANNEL ORANGE

Blonde [Explicit]

目次

  • フランク・オーシャンの歌詞は俳句
  • 和訳:フランク・オーシャンの夏への愛
  • 和訳:Summer Remains
  • 関連過去記事まとめ

 

書評じゃない番外記事。

 

フランク・オーシャンの歌詞を解説した3分ほどのWeb動画ニュースが面白かったので内容を和訳してみた。ついでに、Summer Remainsという未発表曲の歌詞も和訳してみた。

 

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戦争はいつも海の向こうで始まるか - American War by Omar El Akkad

American War (English Edition)

Omar El Akkad - American War

 

2017/07/17 初出

2017/08/25 日本語版発売につき更新

オマル・エル=アッカド「アメリカン・ウォー」として2017/8/29発売

 

2074年、第2次南北戦争勃発。

 

本書Amrican Warは、中国とイスラムが2大勢力となった20世紀後半の世界での没落したアメリカを舞台にした小説だ。主人公である6歳の少女サラ・チェスナットは父親を失い、残された家族とともに難民キャンプで育つ。やがて、ある出来事をきっかけに彼女は自ら内戦に身を投じる・・

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ちょっと今から人間やめてくる -「すごい物理学講義」とホモ・デウスの話

Reality Is Not What It Seems: The Journey to Quantum Gravity

Carlo Rovelli - Reality Is Not What It Seems: The Journey to Quantum Gravity

すごい物理学講義

カルロ・ロヴェッリ - すごい物理学講義

 

人間が人間であることはなんてすばらしくて、人間が人間でしかないことはなんてショボいのだろう。

 

以前「未来が見える未訳本カタログ2017」という記事で紹介したイタリアの理論物理学者カルロ・ロヴェッリの著書"Reality Is Not What It Seems"、その日本語版「すごい物理学講義」を読んだ。この記事はその感想。

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