未翻訳ブックレビュー

世界の本への窓 by 植田かもめ

2017-01-01から1年間の記事一覧

【和訳】Chanel by Frank Ocean

フランク・オーシャンが今月(2017年3月)発表した新曲「シャネル」の歌詞を勝手に対訳した。 彼のBlond(e)というアルバムは「両義性(ambiguity, duality)」がテーマ、と以前の記事で書いたけれどこの曲もその延長線上にある。 'See on both sides like Chan…

現実ばかりがリアルじゃない - 4321 by Paul Auster あと、騎士団長殺し by 村上春樹

Paul Auster - 4 3 2 1: A Novel 20世紀最初の日、東欧からひとりの移民が大西洋を渡った。ニューヨークのエリス島で入国の受付を待つ間、ロシア人の仲間が話しかけてくる。ここでは名前を変えた方がいい、アメリカでの新しい人生のために、新しい名前を名乗…

データが正義を殺すとき。'数学'破壊兵器とは - Weapons of Math Destruction by Cathy O'Neil

2018/5/9 追記 寄稿連載「植田かもめの『いま世界にいる本たち』」でも本書を取り上げました! 翻訳版「あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠」が2018/6/13に発売! Weapons of Math Destruction: How Big Data Increases Inequality and T…

ぼくのかんがえた2030年 - 日本と欧州がイスラム圏に加わって米露中と対峙する日

書評とあんまり関係ない、ただの思いつきのネタ。 'ちきりんの日記'の「日本はムスリム・フレンドリーな国になって留学生や観光客を引きつけるべき」という主旨の連載記事を読んで思ったのだけど、 最近のトランプ政権の、ロシアとエネルギー生産国ブロック…

ビッグ・ミー、そしてモラルへの暗い道 - The Road to Character by David Brooks

2016/04/17 初出 2017/01/19 日本語版発売につき更新 デイヴィッド・ブルックス「あなたの人生の意味―先人に学ぶ「惜しまれる生き方」として発売 (先人を偲ぶこの本では絶対に取り上げられないであろう大統領が就任する日の4日後の2017/01/24に発売) David…

黒い大統領の8年のダンス -(後編)オバマと踊った音楽と時代

*前編のラジオ番組風茶番↓からの続き 「俺たち大丈夫:人種と新たなる隔離について」(ジェフ・チャン著)(未訳) 目次 さよなら、音楽好きの大統領 おまけ1:ファクトチェック・オバマ おまけ2:オバマの8年にリリースされたブラック音楽8選

黒い大統領の8年のダンス -(前編)カウントダウン・オバマ

「ヒップホップは死んじゃいない。ホワイトハウスで生きている」(サンフォード・リッチモンド著)(未訳) やあみんな、お待ちかね!オバマのゴールデン・ヒッツを振り返る、カウントダウン・オバマの時間だよ! お相手は僕、DJバリー(Barry)と、 MCミー…

書くことは、失敗すること - Ta-Nehisi Coates on Writing

「私のすべての作品において、失敗はおそらくもっとも重要な要素です。」"Failure is probably the most important factor in all of my work." 「書くことは、失敗することだからですー何度も何度も、嫌というほど。」"Writing is failure. Over and over a…