私は一割しか理解していないAIの名著2選
yomoyomoさんの記事で知ったのだけれど、ペドロ・ドミンゴスの「マスター・アルゴリズム」の日本語版がついに発売されるらしい。
このブログで紹介したときにも「一般向け機械学習本の決定版」と銘打ったけれど、これはジャンルにおける定番本として残る名著だ。ちなみに習近平の本棚にもあるらしい。
・・と偉そうに書いてはいるが、ぶっちゃけ私は内容を一割ぐらいしか理解できなかった。非専門家でも読めるように複雑な数式は用いないといった工夫がされているが、「遺伝的検索/Genetic Search」とか「確率的勾配効果法/Gradient Descent」といった概念は関連ページをググっても簡単には理解できなかった。
で、一割しか理解できていないのになんで「名著」と呼んでいるかというと、一割も理解できれば書評は十分書けるし、どれぐらいの志やビジョンを持った本なのかは分かるからだ。研究者向けに書かれた内輪向けの本なのか、逆に研究者や実務家を無視した単なる「煽り」の本なのか、それとも社会とか人間を見るための新しい視点をくれる本なのか。
ちなみに、もう一冊、AI関連の名著と言える本にジュディア・パールの"Book of Why"がある。「機械は(相関関係ではない)因果関係を定義できるのか」がテーマの本だ。こっちは2021年4月現在、日本語版は発売されていない。同じく私は一割ぐらいしか理解できていないが、以前連載で紹介した。
なお、マスター・アルゴリズムは、訳者の方のサイトで各章の概要や訳者あとがきが読める。書影がなぜかRPGゲームみたいな世界観のイラストになっているが、機械学習の理論的な5つの流派を「部族(tribe)」と呼んで順に紹介していく構成の本なので、5つの世界を旅してそれぞれの部族のボスを倒していくゲーム攻略本なのだと見ればよいのかもしれない。
以下は関連リンク。
*マスター・アルゴリズムを過去に紹介した記事
*訳者の方の紹介ページ
*ジュディア・パールの"Book of Why"紹介記事(「翻訳書ときどき洋書」連載内)
*おまけ。一割よりはもうちょっと理解できて面白かった本も含めたAI関連本のオススメリストをnoteの個人アカウントに作った。