未翻訳ブックレビュー

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サマーリーディングリストまとめ2016

暑い夏をぶっとばせ

 

"アメリカ人ってよく夏の読書リスト(Summer Reading List)を公開する。そのリストで5冊も10冊も本のタイトルを並べられると、それを読み通せるくらい休暇がとれることに嫉妬を覚えずにいられないが、あいつら本当にそれだけ読んでんのか?"

 

yomoyomoさんも2015年の過去記事で上のように書いているけれど、夏になるといろいろな人や企業や媒体がSummer Reading Listというものを公開する。

 

これはBeach Readsと呼ばれたりタグ付けされたりもする。家族で訪れたリゾート地のビーチで、パラソルの下の木製ビーチベッド(またはハンモック)に麦わら帽子をかぶって寝転がりながら本を読んで、傍らにはピニャコラーダかモヒートがある。みたいな、資産運用会社のイメージ画像として使われそうなシチュエーションで読んだりする本のリストである。

 

で、ビーチで読むかはさておき、私は自分が好きな人がどんな本を読んでいるかを知るのが好きなので、日本でも経営者や作家とかが夏にリストを公開する習慣が広まればよいなと思う。なので「サマーリーディングリストはこんなに公開されているよ」というまとめを以下に簡単に作ってみた。

 

サマーリーディングリスト2016(9選)

1. ビル・ゲイツが選ぶ5冊

毎年恒例で発表されているゲイツによるリスト。このブログでも紹介したユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」(日本語版が9月に出るそうな)や生物学者ニック・レーンの新作に混じって、楽天の三木谷浩史が経済学者の父である三木谷良一と出した本の英語版も入っている。

 

2. JPモルガンが選ぶ10冊

Summer Reading List 2016 | J.P. Morgan Private Bank

- J.P. Morgan has announced the firm’s 17th annual Summer Readin List. This year’s selections reflect the diverse interests and passions of J.P. Morgan’s global client base, from the historical to the creative, from the scientific to the visionary.

もう17年も続いているらしいJPモルガンのリスト。社員に提案してもらった450冊ぐらいの中から選んだとのこと。特定の10人を軸にグローバリゼーションの歴史を語る"From Silk to Silicon"や、人生の成功の秘訣は知能や才能ではなく「やり抜く力」だとする"GRIT"などは日本語訳されてほしい。

 

3. WIREDが選ぶ14冊

「"beach read"とか言うけれど、そもそもアメリカのほとんどの州にはビーチなんか無えよ」「夏の読書で心地いい(breezy)ものは日焼けした顔に吹く冷たい風だけ」というイントロダクションで始まるWIREDのリスト。Tech-bro tell-all(テック野郎が全てを語る)という謎の暴露本ジャンルの新着である"Chaos Monkeys"などが気になる。

 

4. Buzzfeedが選ぶ18冊 

夏だけでなく3か月おきぐらいに出てくるBuzzfeedのおすすめ新作小説リスト。カルト集団に巻き込まれる14歳の少女を描くヤングアダルト小説"The Girls"などなど。

 

5. 10人の起業家がこの夏に読む本 

スタートアップ10社の経営者が選んだ本のリスト。長期的なビジョンを考えるための本としてドラッカーの本を挙げて、それとセットで"Scaling Up"というより現実的な成長戦略を描くためのビジネス本を挙げている人などがいる。

 

6. 作家が選ぶこの夏の本

英ガーディアン誌による、作家が選ぶおすすめ本のリスト。基本、全然知らない作家が全然知らない作家の本を紹介しているリストである(少なくとも私にとっては)。でもカズオ・イシグロも紹介者に入っていて、アラブの春以降の中東を描いた"The Return: Fathers, Sons and the Land in Between"という小説などを紹介している。

 

7. TEDが選ぶ40冊+

ビーチだけでなく、飛行機や"staycation"(stay + vacationで家や近場で過ごす休暇のこと)などシチュエーション別のオススメ本リスト。数が多い。

 

8. Amazonのエディターが選ぶリスト

Fiction、Beach Reads、Children'sという3分類(よくわからん分類だけど)で選ばれたリスト。

 

9. Goodreadsのユーザー投稿リスト

読書記録サイトのGoodreads(日本では読書メーターやブクログが類似サービス)にも"Beach Reads"というのがジャンルとして作られていて本が投稿されている。ゴーン・ガールとかプラダを着た悪魔とか、映画原作本が多め?

 

サマーリーディングリストの源流?

さて、余談だけど、こういうリストが数多く作られる背景には、(休暇をしっかり取る傾向があるというような事情を別にすると)とにかく数を読ませるというアメリカの読書教育の影響があるのではないかと思う。

 

たとえば"Keep kids reading all summer long"(子どもを夏のあいだずっと読書させよう)と題された下のページなんかを見ると、なるべく多くの本に触れさせるためのフリーオンラインプログラムが用意されている。

 

子ども(だけじゃなく大学とかでも同じかもしれないが)に対する読書教育って、こういう物量作戦的な方針でいいんじゃないかと思う。

 

何が言いたいかというと、たとえば日本の読書感想文コンクールの公式サイトのQAを見てみると「読書感想文は、何のために書くの」という質問に対して「書くことによって考えを深められるからです」という回答がされていたりするのだけど、子どもの読書にとって、考えを深めるなんてのは二の次でいいのではないか。

 

とにかく体を動かしてスポーツを好きにさせるのと同じように、良い本でも悪い本でもなんでもいいからとにかく触れさせて読書を好きにさせることを最優先する。その方が、大人になってからも上に紹介したようなサマーリーディングリストを継続して作成することにつながるのではないかと思った。*1

 

いつも学校の勉強なんかイマイチ

いい先生たまにしかいないしって

思うんだったら読書しな

本をいっぱい読む子には

嘘を見抜く目と力つく

K DUB SHINE「ソンはしないから聞いときな」

  

 

おまけ:管理人のサマーリーディングリスト

最後におまけで、管理人がこの夏読もうと思っている本のリストを「ちゃんと読め」という自分へのプレッシャーを込めて公開しておく。

 

ちなみにビーチで読む予定は今のところない。

 

【フィクションとアート】*個人的なテーマ:皮肉と多様性

 

【ビジネスと社会】*個人的なテーマ:通貨と国家の今後

 

【科学とテクノロジー】*個人的なテーマ:ニック・レーンやっつける

 

以上サマーリーディングリストまとめ2016でした。 

*1:念のために書いておくと、もちろん日本でも読書感想文とは別に「読書マラソン」みたいな、物量に触れさせる取り組みはあるのだと思う