毎年恒例、年に一度の自己満足の祭典。
俺のグラミー/アカデミー/ピュリッツァー賞。
2017年に管理人が気に入った音楽と映画と本を紹介する。今年で早くも3回目。ではどうぞ。
目次
俺のグラミー賞
SZA - Control
ビヨンセやリアーナは「スーパーモデル」そのものだけど、SZAは「スーパーモデルに憧れる(ふつうの)女性」の立場で歌ってる感じが好き。
ゆるふわギャング - Mars Ice House
火星の氷の家で暮らすボニーとクライド。
好奇心に従う清潔さ。記事にした↓
Mei Ehara - Sway
「時は二度と戻らない」という歌詞から始まる、カーティス・メイフィールドな大貫妙子。
Frank Oceanのblondedシリーズ
フランク・オーシャンによる、アップルミュージックのプレイリストシリーズ。現役のアーティストではなんかもう別格に好きだ。彼の歌詞は余白があって俳句みたい、という記事とかを書いた↓
俺のアカデミー賞
パク・チャヌク「お嬢さん」
ナ・ホンジン「コクソン」
同時期に公開されていてどっちもすごかった韓国映画。見ている最中に「一体私は何を見せられてるんだ!?」となるシーンが多くて、そういう「わけわからないけどなんだかスゴい」という映画を久しぶりに見た。気がついたら韓国の映画も音楽も文学も面白くて記事にまとめた↓
マーレン・アデ「ありがとう、トニ・エルドマン」
アカデミー外国映画賞も受賞したドイツ映画。これも記事にしたけど、グローバル・ビジネスの世界を一種の「サブカルチャー」としてこんなにリアルに描いた作品って初めてだった↓
俺のピュリッツァー賞
読書猿
志が高すぎる本。
人類のあらゆる知を集結するという「最も広い意味での人文学」のカタログ。いつでも使えていつまでも使える。
Seth Stephens-Davidowitz
最も楽しく読んだ本。著者は元グーグルのデータサイエンティスト。教会の懺悔室で告白するように、他人に言えない秘密も人はグーグルの検索窓に打ち込む。その活用により社会科学はようやくホントの科学になる。
Cathy O'neil
Weapons of Math Destruction: How Big Data Increases Inequality and Threatens Democracy
最も邦訳が出てほしい本。ローンを組めないとか、保険に入れないとか、言いにくいことをAIに言わせて済ませる時代が来る(というか来ている)。
Pedro Domingos
The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World
最も時間をかけて読んだ本。機械学習が「アルゴリズムを生み出すアルゴリズム」であり「何を自動化するかを自動化する」仕組みであることを包括的に論じる。
カルロ・ロヴェッリ
最も読んでいて興奮した本。時間も空間も、人間の認知機構が仮定した概念に過ぎない。って言うとなんだか仏教みたいに聞こえる。
ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー
最も実効性があった本。わたしの行動が変わらないのは、変わらないことで達成している「裏の目標」があるから。理論と哲学の裏付けがあるビジネス本って大好き。
カズオ・イシグロ
最も笑った小説。ノーベル賞を取ったから高尚な作家なのかなと思って読む人に面白みを伝えたくて記事を書いた↓
テジュ・コール
最もうっとりした小説。インテリのうんちくを聴きながら、幽霊たちと散歩するニューヨーク。
岡田美智男
〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション (講談社現代新書)
最後に新書を一冊。「なんでもやってくれるロボット」ではなく、あえて不完全なロボットを作ることで人間のコミュニケーションを促す、という発想の研究。ゴミを見つけるけど拾わないで、人間に拾わせるロボットなどが紹介されている。
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以上終わり。
それぞれひとつだけ選ぶなら、音楽はSZAのCtrl、映画はありがとうトニ・エルドマン、本はEverybody Liesという2017年だった。