未翻訳ブックレビュー

Lost-In-Translation Book Review. 日本語版発売を待たずに本を紹介するページです

【番外】2010年代に出たソロアーティストの名盤10選

書評じゃない番外記事。

 

2010年代に発表された音楽から、ソロアーティストのオススメアルバムを10作品選んでみた。コロナで自宅にいる期間が増えて回顧モードなのだ。

 

過去に記事を書いたものはリンクを付けてある。最後に、最近の音楽でよくキーワードとして出てくる(気がする)「エンパワーメント」という言葉についてコメントを書いた。ではどうぞ。

 

 

折坂悠太 - 平成(2018)

平成

以前何かで読んだレビューで、くるりを「ウラ国民的ロックバンド」と表現していたものがあった。その表現になぞらえると、折坂悠太は「ウラ国民的シンガーソングライター」になるんじゃないかという気がする。ちなみにこのときの「オモテ」は誰かというと米津玄師である。なんとなく。

 

イ・ラン - 神様ごっこ(2016)

神様ごっこ(増補新装版) [SDCD-039]

韓国の才能。

 

Frank Ocean - Blonde (2016)

Blonde [Explicit]

 

見えている人(=visionary)。

 

Kendrick Lamar - To Pimp A Butterfly (2015)

To Pimp a Butterfly

生きる伝説。

 

宇多田ヒカル - Fantome (2016)

Fantôme

生き続ける人。 

 

Solange - A Seat at the Table (2016)

A SEAT AT THE TABLE

F.U.B.U. (For Us, By Us).

 

坂本慎太郎 - ナマで踊ろう (2014)

ナマで踊ろう

目覚めた人。

 

星野源 - POP VIRUS (2018)

POP VIRUS

 

↑ずっと昔にこんな戯れ言記事を書いていたのがちゃんちゃらおかしいぐらい巨大な存在になった

 

D'angelo - Black Messiah (2014)

BLACK MESSIAH

"All we wanted was a chance to talk
話し合うチャンスが欲しかっただけ

'Stead we only got outlined in chalk
それなのにチョークでフチ取りされてしまった

Feet have bled a million miles we've walked
100万マイルを歩んだ足が血でにじむ

Revealing at the end of the day, the charade"
結局わかってしまった、シャレード(まやかし)なのだと

 

小沢健二 - So kakkoii 宇宙 (2019)

So kakkoii 宇宙

 そして時は2020。

  

(おまけ)音楽による「エンパワーメント」について

以上リスト終わり。

 

なんとなく、折坂悠太とイ・ランとフランク・オーシャンとケンドリック・ラマーが並んでいるリストを作りたくて記事にしてみた。

 

ある種の音楽は"empowerment"(エンパワーメント。自信や力を与える)という言葉で語られる。それは政治的な文脈で使われることも多くて、たとえばケンドリック・ラマーのAlrightという曲はBlack Lives Matter運動のデモでよく使われる曲だ。また、もっと即物的に、単にポジティブで「元気になれる歌」を指して、エンパワーメントしてくれる歌と呼んだりもする。

 

だけど、音楽がもたらすエンパワーメントって、そうした直接的な作用だけではないだろう。なんというか、「こんなに美しくてすばらしいモノを作る人がいるなら、自分も毎日がんばって生きよう」みたいに思わせてくれるものこそ価値があると思う。ここに挙げたのは、自分にとってそういう意味で「エンパワーメント」してくれる音楽である。*1

 

美というものは、たんに目に見えるものではなかった。それは、人が"美しくする"ことのできるものだった。

Beauty was not simply something to behold; it was something one could do.

(トニ・モリソン「青い眼が欲しい」あとがきより) 

青い眼がほしい (ハヤカワepi文庫)

青い眼がほしい (ハヤカワepi文庫)

 

 

*1:なお、ニュアンスが難しいのだが、「アーティストが直接的に政治のことを表現するべきではない」とか「アーティストは政治的な発言をすべきではない」といったことを言いたいわけでは全くない