未翻訳ブックレビュー

世界の本への窓 by 植田かもめ

【番外】星野源の今後を勝手に考える

 

YELLOW DANCER (初回限定盤A)

星野源 - YELLOW DANCER

 

書評と何の関係もない番外エントリです。

星野源の新アルバム「Yellow Dancer」の感想と今後やってほしい事の妄想です。

 

SUN=太陽=明るい?

自分はSAKEROCKの頃も含めて彼の音楽が大好きです。2015年12月に発売された4枚目のアルバム「Yellow Dancer」も、弾き語りライブDVD付きの初回限定盤で購入しました。

で、聞いて思ったこと。音はとてもかっこよくて感動しました。この辺の記事とか、あちこちにまとまっているので詳細は省きますが、ブラック音楽の影響を消化した今作のスタイルは、例えば初期のアコースティックな感じより個人的には全然好きです。


星野 源 - 時よ 【MUSIC VIDEO & Album Trailer】

 

なのですが、正直、歌詞がかなり陳腐になってしまったと思いました。

 

自分が思う星野源の歌詞が持つ魅力の一つとして、「ばか」や「くだらない」や「うそ」といった、通常は悪い意味で使う言葉をほめ言葉として使って意味を反転させる諧謔性がありました。

 

また、「笑顔のようでいろいろあるなこの世は 綺麗な景色どこまでほんとか」「わけのわからぬことばかりだな心は 画面の事件どこまでほんとか」(いずれも「フィルム」より)といったように、表面からは見えない物事の裏側に視点を向けるスタンスも好きな点でした。

 

ですが、そういう要素は今回のアルバムではほとんど無くなってしまったと思いました(制作時期が一番早かったと思われる「地獄でなぜ悪い」に残っている程度)。ウイークエンドシャッフルでのライムスター宇多丸との会話を聞くと、歌詞にはいろいろ隠れた設定があるようなのですが、隠れた設定以前に、直接聞こえてくる言葉がつまらなかったです。「おお此処から おお世界が おお此処から おお心が」と歌う「Soul」という曲のサビを聞いて、星野源の音楽を聞いていて初めて「ダサいかも・・」とか思ってしまいました。アレンジはめちゃくちゃかっこいいのに。

 

ヒットした「SUN」という曲に代表されるように、星野源の近作の作風は「明るくなった」とか言われています。好みの問題なのかもしれませんが、太陽のような明るさよりも、むしろ日の光が届かない「隅っこを照らす」Brighten the Corners)のが彼の魅力だと思っていた身としてはちょっと残念でした。


星野 源 - SUN【MUSIC VIDEO & 特典DVD予告編】

 

モテない友達が急にモテだしてもドンルックバックインアンガー

2015年の星野源の売れ方を見ていると、モテない仲間だと思っていた学生友達が急にオシャレしたりスポーツをやったりしてモテだすのを見るような一抹の寂しさがあったりなかったりします。

 

また、大晦日の紅白歌合戦で彼が「俳優・音楽・文筆をこなす」とか紹介されて、中高年層に「福山雅治と似たようなジャンルの人」とか認識されて、その家庭のサブカル好きの娘さんが「全然違うよ!」とか思いながらもめんどくさいから両親には何も言わず黙って年越し蕎麦をすする、といった光景が予想されて、いたたまれない気持ちになったりならなかったりします。

 

ですが、「昔に戻ってほしい」とか言いたいわけでは全然ありません。

 

むしろ星野源にはどんどん売れて、今の青年っぽい感じから、大人の大物へと成熟していってほしいと思っています。でも、どうやって?結婚したり子どもができたり激太りしたりするのもよいかもしれませんが、落ち着いた雰囲気を出せて、かつ売れている人じゃないとできないこととして、星野源にぜひやってもらいたい仕事があります。

 

それは、長く続く深夜のテレビ番組のホストです。

 

「夜」か「バー」が番組名につく星野源の深夜テレビ番組(妄想)

UKにJools Hollandというキーボード奏者がいます。"Later with Jools Holland"という20年以上続いているBBCの音楽番組のホストである彼は、司会もやりながら時々ゲストの伴奏でピアノを弾いたりもします。

↑奥でピアノを弾いているのがJools Holland

 

以前のエントリで上のリンク動画を貼った際、星野源もこういうホスト兼演奏をする番組を持ったりしないかなあと思いました。

 

30分程度のアダルトな雰囲気の深夜番組で、毎週ゲストをひとり呼んでトークを行い、最後に星野源が演奏をして一緒に歌う。そんな番組を見てみたいです。

 

初回のゲストはぜひタモリでお願いします。


星野源 with 森田一義 スーダラ節

 

二回目のゲストは堺正章で、「さらば恋人」を一緒に歌ってほしいです。


さらば恋人

 

その後何回か妙齢の女優さんとかを挟んで、奥田民生にも出演してもらいたいです。


奥田民生&星野源「シャ・ラ・ラ」

 

番組名はなんでもいいですが、「夜」か「バー」を入れてもらいたいです。植木等リスペクトで「オヨビでない夜」とか「星野源の今夜、すべてのバーで」とか。

 

Let's get old.

もともと星野源って、小学生時代のあだ名が「おじいちゃん」だったり、「老夫婦」という曲や「ストーブ」(配偶者の火葬に立ち会う老人の歌)という曲を作っていたり、加齢志向が強い人だと思います(加齢志向はいま造った言葉)。

ですが、そうした何というか「コスプレとしての加齢」ではなく、本格的に中年の大物として年を重ねて、今よりもっとブラック音楽に合った雰囲気を出す男になってほしいなと切に願います。老けろ、星野源、老けろ。ニーズはないだろうけれど。

 

以上、星野源の今後を勝手に考える「大人計画」でした。

そして生活はつづく (文春文庫)

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働く男 (文春文庫)

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