未翻訳ブックレビュー

Lost-In-Translation Book Review. 日本語版発売を待たずに本を紹介するページです

ビッグ・ミー、そしてモラルへの暗い道 - The Road to Character by David Brooks

2016/04/17 初出 2017/01/19 日本語版発売につき更新 デイヴィッド・ブルックス「あなたの人生の意味―先人に学ぶ「惜しまれる生き方」として発売 (先人を偲ぶこの本では絶対に取り上げられないであろう大統領が就任する日の4日後の2017/01/24に発売) David…

黒い大統領の8年のダンス -(後編)オバマと踊った音楽と時代

*前編のラジオ番組風茶番↓からの続き 「俺たち大丈夫:人種と新たなる隔離について」(ジェフ・チャン著)(未訳) 目次 さよなら、音楽好きの大統領 おまけ1:ファクトチェック・オバマ おまけ2:オバマの8年にリリースされたブラック音楽8選

黒い大統領の8年のダンス -(前編)カウントダウン・オバマ

「ヒップホップは死んじゃいない。ホワイトハウスで生きている」(サンフォード・リッチモンド著)(未訳) やあみんな、お待ちかね!オバマのゴールデン・ヒッツを振り返る、カウントダウン・オバマの時間だよ! お相手は僕、DJバリー(Barry)と、 MCミー…

書くことは、失敗すること - Ta-Nehisi Coates on Writing

「私のすべての作品において、失敗はおそらくもっとも重要な要素です。」"Failure is probably the most important factor in all of my work." 「書くことは、失敗することだからですー何度も何度も、嫌というほど。」"Writing is failure. Over and over a…

2016年の未翻訳ブックレビュー

2016年はだいたい月に1冊ぐらいのペースで本を紹介してきたので、月別のまとめを作った。個人的な好奇心の航行記録。達成も未達もない営業月報。取り上げた本の日本語版が出たかの情報も付記した(2016年12月時点)。 ひとつ前にアップしたまとめ記事とかぶ…

俺のグラミー/アカデミー/ピュリッツァー賞2016

去年も書いた、年に一度の自己満足の祭典。2016年に気に入った音楽と映画と本を紹介する。 今年はあんまり厳選しないで、ぶわーっといっぱい作品を並べてみる。音楽が10作、映画が7作、本が20冊ある。ページを分けた方がいいのかもしれないけれど、ASKAのブ…

カタルシスより笑い - エトガル・ケレット未訳短編集

「あんたらが任務にあたるとき、天国で70人のエロい処女が待っていると教えられるってホント?」 「ホントだよ」ナッサーは言った。「それで実際に俺が手にしたものを見てみろよ。ぬるいウォッカだ。」 自殺した人間だけが行き着く世界のとあるバーで、自爆…

憎んでいるのでなく憎まされている

The Attention Merchants by Tim Wu 行き詰まっていると思っていたのは 行き詰まっているうわさのしわざ 差し迫っていると思っていたのは 差し迫っているうわさのしわざ - いとうせいこう「噂だけの世紀末」 'Post-truth'(ポスト真実、脱真実、ガセネタ)…

俺にはわかる - I Know Better by John Legend

2016年12月に発表されたジョン・レジェンドのアルバム"Darkness And Light"(闇と光)より、"I Know Better"の対訳です。 前の記事で紹介したラインナップにも加えたい一作。上に貼った公式動画で曲は聴けます。元詞はラプジより。

'各自の生活を美しくしてそれに執着する'ための2016年のブラックミュージック

"All you Black folks, you must goAll you Mexicans, you must goAnd all you poor folks, you must goMuslims and gays, boy, we hate your waysSo all you bad folks, you must go" (黒人たちめ、出て行けよメキシカンども、出て行けよ貧乏人め、出て行…

見えないアメリカをめぐる400年 - White Trash by Nancy Isenberg

White Trash: The 400-Year Untold History of Class in America(ホワイト・トラッシュ:アメリカの語られざる階級の400年の歴史) ドナルド・トランプが大統領選挙に勝利した。このブログでは、人口に占める白人割合の低下を背景とする、共和党の長期的な…

宇宙船を編む(中学英語で) - Thing Explainer by Randall Munroe

2016/04/09 初出 2016/11/23 日本語版発売につき更新 ランドール・マンロー「ホワット・イズ・ディス?:むずかしいことをシンプルに言ってみた」として発売(yomoyomoさんの記事で知った。いつもありがとうございます) Randall Munroe "Thing Explainer: Com…

イ・ラン「神様ごっこ」とミランダ・ジュライ - Playing God by Lee Lang

「すごい!神!」「神だw」 誰かと話したりネットのコメントを見ていて最近思うのだけど、日本語の「神」という言葉の使われ方って、いつのまにか英語の'Oh my God!'とあんまり変わらなくなっている気がする。上の例はまんま「オーマイガ」に置き換え可能で…

【さよなら人類】ホモ・サピエンスからホモ・デウスへ - Homo Deus by Yuval Noah Harari

Homo Deus: A Brief History of Tomorrow 「あなたが望めば戦争は終わる」とジョン・レノンは言ったけれど、望まなくても戦争が終わり、望まないと死ねない時代が来るかもしれない。ただし万人にではない。 本書「ホモ・デウス」は、イスラエルの歴史学者ユ…

プロは奇跡を起こさない - 「ハドソン川の奇跡」と「夜間飛行」

御年86歳のクリント・イーストウッド監督の新作映画「ハドソン川の奇跡」を観た。ニューヨークのハドソン川にUSエアウェイズ便が不時着して世界中でニュースとなった2009年の出来事を描いた本作は、アクション映画でもパニック映画でもなかった。どんな映画…

ぼくが消えないうちに - The Imaginary by A.F. Harrold

忘れられ、消えてなくなる存在が主人公の児童書。本書の主人公ラジャーは「イマジナリー・フレンド」である。少女アマンダの空想のなかに存在する男の子だ。

【追記あり】Nikes by Frank Ocean

2016/9/18:この記事はもともと歌詞対訳と簡単なコメントだけを載せていたが、いろいろと余談を語りたくなったので追記をした 鬱くしい 追記1:BlondでありBlondeでもある両義性 追記2:Kohhと似た固有名詞の使い方 追記3:異界の声としてのフィルターボ…

翻訳できない世界のことば - Lost In Translation

このブログは未翻訳の洋書を日本語版発売前にかいつまんで紹介するのがメインのブログだけど、以前紹介したイスラエルの作家エトガル・ケレットの本とか、とても好きなものは日本語版が出ていても取り上げたい。 本書「翻訳できない世界のことば」(原題'Los…

【番外】アル・ジャジーラのアジアドキュメンタリー'101 EAST'が面白い

書評と関係ない番外記事。 最近いちばん更新が楽しみなコンテンツの紹介。 リッチな中国人移民がバンクーバーの家賃を引き上げている、フィリピンの指名手配犯には賞金が懸けられている、韓国人は世界一の酒飲みでロシア人の2倍の量飲酒する・・ アル・ジャ…

インターネットだいっきらい - I Hate the Internet by Jarett Kobek

I Hate the Internet by Jarett Kobek もしカート・ヴォネガットがはてな匿名ダイアリーを書き殴ったとしたら。そんな小説が本書'I Hate the Internet'である。 トラルファマドール星人やボコノン教は出てこないけれど、かわりに、マーク・ザッカーバーグも…

【番外】坂本慎太郎「できれば愛を」と2016年の憎しみ

書評と全然関係ない番外記事。 今日(2016/7/26)の日記みたいなもの。 夜に仕事から帰宅したら、予約していた坂本慎太郎の新アルバム「できれば愛を」が届いていたので聞いた。

サマーリーディングリストまとめ2016

"アメリカ人ってよく夏の読書リスト(Summer Reading List)を公開する。そのリストで5冊も10冊も本のタイトルを並べられると、それを読み通せるくらい休暇がとれることに嫉妬を覚えずにいられないが、あいつら本当にそれだけ読んでんのか?" yomoyomoさんも…

「ブロックチェーンは'93年のインターネットと同じ状況にある」- Blockchain Revolution by Don Tapscott

2016/07/19 初出 2016/12/25 日本語版発売につき更新 *ドン・タプスコット「ブロックチェーン・レボリューション ―ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか」として発売 Blockchain Revolution: How the Technology Be…

ヒトになった猿は神へと進化する - Sapiens: A Brief History of Humankind by Yuval Noah Harari

2016/01/24 初出 2016/07/05 日本語版発売につき更新 *ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」として2016/09/08発売 Sapiens: A Brief History of Humankind 作者: Yuval Noah Harari ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」を超える本、と煽られて…

【和訳】ばか歩きの歌 - The Silly Walk Song

グーグル・バスに石を投げる - Throwing Rocks at the Google Bus by Douglas Rushkoff

Throwing Rocks at the Google Bus: How Growth Became the Enemy of Prosperity 要約 企業の成長(growth)と人間の繁栄(prosperity)とが一致しない状態を「成長の罠」と呼ぶ UberやAirbnbなどの独占型プラットフォームはシェアビジネスじゃなくて単なる…

【番外】もしUSにフリースタイルダンジョンがあったら

書評と何の関係もない、遊びの番外エントリです。 フリースタイルダンジョンをいつもYoutubeで見ていたのですが、権利問題の関係でオフィシャルにはYoutube配信中止になってしまいました。 で、かわりに?Swayのフリースタイル動画を見ていたら、Commonがめ…

【まとめ】エトガル・ケレットと「あの素晴らしき七年」

2016/06/06追記 「あの素晴らしき七年」の訳者の秋元孝文さんがこのブログを紹介してくださいました! 秋元孝文 On the Road to Nowhere: エトガル・ケレット 『あの素晴らしき七年』 書評情報 (注)個人的な「黄色い本」3きょうだい。どれかを好きな人には…

書くための10のルール(というか隠れた真実)by エトガル・ケレット

イスラエルの作家エトガル・ケレットの自伝的エッセイ集「あの素晴らしき七年」に恋しているので、引き続き関連エントリー。 Twitterでケレットによる執筆十ヶ条という記事を紹介している方がいた(この方はケレットのエッセイのうまさを米原万理と並べてい…

架空の賛辞で好きな本を全力プッシュしてみる

目次 前置き:「私の」本 エトガル・ケレット「あの素晴らしき七年」ー本書に寄せられた本当の賛辞 エトガル・ケレット「あの素晴らしき七年」ー本書に寄せられた架空の賛辞 参考資料