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未翻訳ブックレビュー

Lost In Bookish Rambles. 日本語版発売を待たずに本を紹介するページです

データが正義を殺すとき。'数学'破壊兵器とは - Weapons of Math Destruction by Cathy O'Neil

Weapons of Math Destruction: How Big Data Increases Inequality and Threatens Democracy コンピュータは人を差別するだろうか? データサイエンティストのキャシー・オニールによる本書"Weapons of Math Destruction: How Big Data Increases Inequality…

ぼくのかんがえた2030年 - 日本と欧州がイスラム圏に加わって米露中と対峙する日

書評とあんまり関係ない、ただの思いつきのネタ。 'ちきりんの日記'の「日本はムスリム・フレンドリーな国になって留学生や観光客を引きつけるべき」という主旨の連載記事を読んで思ったのだけど、 最近のトランプ政権の、ロシアとエネルギー生産国ブロック…

想像力は無限ではない? ファスト&スローを書かせた理論と友情 - The Undoing Project by Michael Lewis

The Undoing Project: A Friendship that Changed the World ある男がいたとする。彼は90歳近い高齢で、癌が全身に転移している。助かる見込はないと考えた医師と家族は手術などの措置を断念しており、既に意識がはっきりしない状態にある。さて、次のどちら…

ビッグ・ミー、そしてモラルへの暗い道 - The Road to Character by David Brooks

2016/04/17 初出 2017/01/19 日本語版発売につき更新 デイヴィッド・ブルックス「あなたの人生の意味―先人に学ぶ「惜しまれる生き方」として発売 (先人を偲ぶこの本では絶対に取り上げられないであろう大統領が就任する日の4日後の2017/01/24に発売) David…

黒い大統領の8年のダンス -(後編)オバマと踊った音楽と時代

*前編のラジオ番組風茶番↓からの続き 「俺たち大丈夫:人種と新たなる隔離について」(ジェフ・チャン著)(未訳) 目次 さよなら、音楽好きの大統領 おまけ1:ファクトチェック・オバマ おまけ2:オバマの8年にリリースされたブラック音楽8選

黒い大統領の8年のダンス -(前編)カウントダウン・オバマ

「ヒップホップは死んじゃいない。ホワイトハウスで生きている」(サンフォード・リッチモンド著)(未訳) やあみんな、お待ちかね!オバマのゴールデン・ヒッツを振り返る、カウントダウン・オバマの時間だよ! お相手は僕、DJバリー(Barry)と、 MCミー…

書くことは、失敗すること - Ta-Nehisi Coates on Writing

「私のすべての作品において、失敗はおそらくもっとも重要な要素です。」"Failure is probably the most important factor in all of my work." 「書くことは、失敗することだからですー何度も何度も、嫌というほど。」"Writing is failure. Over and over a…

2016年の未翻訳ブックレビュー

2016年はだいたい月に1冊ぐらいのペースで本を紹介してきたので、月別のまとめを作った。個人的な好奇心の航行記録。達成も未達もない営業月報。取り上げた本の日本語版が出たかの情報も付記した(2016年12月時点)。 ひとつ前にアップしたまとめ記事とかぶ…

俺のグラミー/アカデミー/ピュリッツァー賞2016

去年も書いた、年に一度の自己満足の祭典。2016年に気に入った音楽と映画と本を紹介する。 今年はあんまり厳選しないで、ぶわーっといっぱい作品を並べてみる。音楽が10作、映画が7作、本が20冊ある。ページを分けた方がいいのかもしれないけれど、ASKAのブ…

カタルシスより笑い - エトガル・ケレット未訳短編集

「あんたらが任務にあたるとき、天国で70人のエロい処女が待っていると教えられるってホント?」 「ホントだよ」ナッサーは言った。「それで実際に俺が手にしたものを見てみろよ。ぬるいウォッカだ。」 自殺した人間だけが行き着く世界のとあるバーで、自爆…

憎んでいるのでなく憎まされている

The Attention Merchants by Tim Wu 行き詰まっていると思っていたのは 行き詰まっているうわさのしわざ 差し迫っていると思っていたのは 差し迫っているうわさのしわざ - いとうせいこう「噂だけの世紀末」*1 'Post-truth'(ポスト真実、脱真実、ガセネタ)…

俺にはわかる - I Know Better by John Legend

2016年12月に発表されたジョン・レジェンドのアルバム"Darkness And Light"(闇と光)より、"I Know Better"の対訳です。 前の記事で紹介したラインナップにも加えたい一作。上に貼った公式動画で曲は聴けます。元詞はラプジより。

'各自の生活を美しくしてそれに執着する'ための2016年のブラックミュージック

"All you Black folks, you must goAll you Mexicans, you must goAnd all you poor folks, you must goMuslims and gays, boy, we hate your waysSo all you bad folks, you must go" (黒人たちめ、出て行けよメキシカンども、出て行けよ貧乏人め、出て行…

見えないアメリカをめぐる400年 - White Trash by Nancy Isenberg

White Trash: The 400-Year Untold History of Class in America(ホワイト・トラッシュ:アメリカの語られざる階級の400年の歴史) ドナルド・トランプが大統領選挙に勝利した。このブログでは、人口に占める白人割合の低下を背景とする、共和党の長期的な…

宇宙船を編む(中学英語で) - Thing Explainer by Randall Munroe

2016/04/09 初出 2016/11/23 日本語版発売につき更新 ランドール・マンロー「ホワット・イズ・ディス?:むずかしいことをシンプルに言ってみた」として発売(yomoyomoさんの記事で知った。いつもありがとうございます) Randall Munroe "Thing Explainer: Com…

イ・ラン「神様ごっこ」とミランダ・ジュライ - Playing God by Lee Lang

「すごい!神!」「あぁ、神だw」 誰かと話したりネットのコメントを見ていて最近思うのだけど、日本語の「神」という言葉の使われ方って、いつのまにか英語の'Oh my God!'とあんまり変わらなくなっている気がする。上の2つはどちらもまんま「オーマイガ」に…

【さよなら人類】ホモ・サピエンスからホモ・デウスへ - Homo Deus by Yuval Noah Harari

Homo Deus: A Brief History of Tomorrow 「あなたが望めば戦争は終わる」とジョン・レノンは言ったけれど、望まなくても戦争が終わり、望まないと死ねない時代が来るかもしれない。ただし万人にではない。 本書「ホモ・デウス」は、イスラエルの歴史学者ユ…

プロは奇跡を起こさない - 「ハドソン川の奇跡」と「夜間飛行」

御年86歳のクリント・イーストウッド監督の新作映画「ハドソン川の奇跡」を観た。ニューヨークのハドソン川にUSエアウェイズ便が不時着して世界中でニュースとなった2009年の出来事を描いた本作は、アクション映画でもパニック映画でもなかった。どんな映画…

ぼくが消えないうちに - The Imaginary by A.F. Harrold

忘れられ、消えてなくなる存在が主人公の児童書。本書の主人公ラジャーは「イマジナリー・フレンド」である。少女アマンダの空想のなかに存在する男の子だ。

失敗していいよと言ってくれる会社 - An Everyone Culture by Robert Kegan and Lisa Laskow Lahey

An Everyone Culture: Becoming a Deliberately Developmental Organization 組織に属する多くの人間は、本来の仕事とは別に、誰もお金を払ってくれないもうひとつの仕事をしている。自分の弱点を隠し、周囲からよく見られるように振る舞うという仕事だ。 も…

【追記あり】Nikes by Frank Ocean

2016/9/18:この記事はもともと歌詞対訳と簡単なコメントだけを載せていたが、いろいろと余談を語りたくなったので追記をした 追記1:BlondでありBlondeでもある両義性 追記2:Kohhと似た固有名詞の使い方 追記3:異界の声としてのフィルターボイス

翻訳できない世界のことば - Lost In Translation

このブログは未翻訳の洋書を日本語版発売前にかいつまんで紹介するのがメインのブログだけど、以前紹介したイスラエルの作家エトガル・ケレットの本とか、とても好きなものは日本語版が出ていても取り上げたい。 本書「翻訳できない世界のことば」(原題'Los…

【番外】アル・ジャジーラのアジアドキュメンタリー'101 EAST'が面白い

書評と関係ない番外記事。 最近いちばん更新が楽しみなコンテンツの紹介。 リッチな中国人移民がバンクーバーの家賃を引き上げている、フィリピンの指名手配犯には賞金が懸けられている、韓国人は世界一の酒飲みでロシア人の2倍の量飲酒する・・ アル・ジャ…

インターネットだいっきらい - I Hate the Internet by Jarett Kobek

I Hate the Internet by Jarett Kobek カート・ヴォネガットが書き殴ったはてな匿名ダイアリー。そんな小説。 トラルファマドール星人やボコノン教は出てこないけれど、かわりに、マーク・ザッカーバーグもシェリル・サンドバーグもマーベル・スタジオもレデ…

【番外】坂本慎太郎「できれば愛を」と2016年の憎しみ

書評と全然関係ない番外記事。 今日(2016/7/26)の日記みたいなもの。 夜に仕事から帰宅したら、予約していた坂本慎太郎の新アルバム「できれば愛を」が届いていたので聞いた。

サマーリーディングリストまとめ2016

"アメリカ人ってよく夏の読書リスト(Summer Reading List)を公開する。そのリストで5冊も10冊も本のタイトルを並べられると、それを読み通せるくらい休暇がとれることに嫉妬を覚えずにいられないが、あいつら本当にそれだけ読んでんのか?" yomoyomoさんも…

「ブロックチェーンは'93年のインターネットと同じ状況にある」- Blockchain Revolution by Don Tapscott

2016/07/19 初出 2016/12/25 日本語版発売につき更新 *ドン・タプスコット「ブロックチェーン・レボリューション ―ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか」として発売 Blockchain Revolution: How the Technology Be…

ヒトになった猿は神へと進化する - Sapiens: A Brief History of Humankind by Yuval Noah Harari

2016/01/24 初出 2016/07/05 日本語版発売につき更新 *ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」として2016/09/08発売 Sapiens: A Brief History of Humankind 作者: Yuval Noah Harari ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」を超える本、と煽られて…

【和訳】ばか歩きの歌 - The Silly Walk Song

グーグル・バスに石を投げる - Throwing Rocks at the Google Bus by Douglas Rushkoff

Throwing Rocks at the Google Bus: How Growth Became the Enemy of Prosperity 要約 企業の成長(growth)と人間の繁栄(prosperity)とが一致しない状態を「成長の罠」と呼ぶ UberやAirbnbなどの独占型プラットフォームはシェアビジネスじゃなくて単なる…

【番外】もしUSにフリースタイルダンジョンがあったら

書評と何の関係もない、遊びの番外エントリです。 フリースタイルダンジョンをいつもYoutubeで見ていたのですが、権利問題の関係でオフィシャルにはYoutube配信中止になってしまいました。 で、かわりに?Swayのフリースタイル動画を見ていたら、Commonがめ…

【まとめ】エトガル・ケレットと「あの素晴らしき七年」

2016/06/06追記 「あの素晴らしき七年」の訳者の秋元孝文さんがこのブログを紹介してくださいました! 秋元孝文 On the Road to Nowhere: エトガル・ケレット 『あの素晴らしき七年』 書評情報 (注)個人的な「黄色い本」3きょうだい。どれかを好きな人には…

書くための10のルール(というか隠れた真実)by エトガル・ケレット

イスラエルの作家エトガル・ケレットの自伝的エッセイ集「あの素晴らしき七年」に恋しているので、引き続き関連エントリー。 Twitterでケレットによる執筆十ヶ条という記事を紹介している方がいた(この方はケレットのエッセイのうまさを米原万理と並べてい…

架空の賛辞で好きな本を全力プッシュしてみる

目次 前置き:「私の」本 エトガル・ケレット「あの素晴らしき七年」ー本書に寄せられた本当の賛辞 エトガル・ケレット「あの素晴らしき七年」ー本書に寄せられた架空の賛辞 参考資料

イスラエルでは裏切り者、他の国でもボイコット - エトガル・ケレットインタビュー抄訳

”In Israel people would boycott me saying I’m a traitor, and overseas people would boycott me because I’m Israeli.” 「イスラルでは人々は私を裏切り者と呼んでボイコットし、海外ではイスラエル人だからという理由でやはり人々は私をボイコットする…

未来が見える未訳本リスト

初出:2016.04.28 以後継続的に更新 まだ読んでないけど面白そう、という未訳本がたまってきたのでリスト化しました。*1 アマゾンの商品説明などを頼りに勝手に作成した「こういう本のはず」という簡単な紹介文をそれぞれ付けています。。罪と罰を読まないも…

時には4月に雪が降る - D'angeloによるPrinceトリビュート

D'Angelo ft. Princess: Sometimes It Snows in April

POP LIFE

トランプが大統領になれない構造的な理由 - 2016 and Beyond by Whit Ayres

2016/11/9 追記:トランプ勝っちゃいました。3月に書いた以下の記事はそのまま残しておきます。 Whit Ayres “2016 and Beyond: How Republicans Can Elect a President in the New America” ドナルド・トランプは共和党指名を獲得できても大統領選には勝てな…

【Voiceを聞いてきた】イーユン・リー x 川上未映子 in 東京国際文芸フェスティバル2016

大好きな作家のイーユン・リーが東京国際文芸フェスティバルというイベントで来日! あ、でもトークライブは平日の夜か。仕事で行けなそう。。 お、でも会場が職場のすぐ近くだ! という個人的な経緯を経て、2016年3月3日の川上未映子さんとのトークライブに…

【和訳と感想】白人の特権II - White Privilege II by Macklemore & Ryan Lewis

書評ではないのですが、白人ヒップホップデュオのマックルモア&ライアン・ルイスが2016年の1月に発表した'White Privilege II'という曲の歌詞を日本語訳してみました。上に貼ったYoutubeで公開されている他、特設サイトで無料配信もしている曲です。 この曲…

もっといい人いるかも症候群 - Modern Romance by Aziz Ansari

2016/02/11 初出 2016/08/26 アジズ・アンサリ「当世出会い事情―スマホ時代の恋愛社会学」として日本語版発売 Aziz Ansari and Eric Klinenberg "Modern Romance" 2005年から2012年にアメリカで結婚したカップルのうち、3分の1はオンライン上で知り合ってい…

【番外】「陳列欲」と電子書籍の新しい売り方

このブログは書評ブログですが、これは番外エントリーです。何か好きなものを並べてうっとりしたい。という欲求についての話。 今日アマゾンを見ていて、ガルシア・マルケスの著作の英語版が新装されているのを見つけました。2014年に出た新装版らしい。これ…

宇宙人に人類史を教えるための7+1冊:Sapiensから広げるブックリスト

ひとつ前にアップした記事↑の関連エントリ。 ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス」は、取るに足らないチンパンジーの一種だった人間が地球の支配者になれた要因は何だったのかを語る本だ。生物進化や経済やテクノロジーなど広範な領域について言及するこ…

【まとめ】俺のグラミー/アカデミー/ピュリッツァー賞2015

今年よかった音楽と映画と本をまとめて紹介します。 かっこつけてグラミー/アカデミー/ピュリッツァー賞としていますが、ひとりで勝手に選んでいるだけなので、名前はレコード大賞でも映画秘宝ベストでも王立協会科学図書賞でもなんでもいいです。とりあえず…

【番外】星野源の今後を勝手に考える

星野源 - YELLOW DANCER 書評と何の関係もない番外エントリです。 星野源の新アルバム「Yellow Dancer」の感想と今後やってほしい事の妄想です。

頼むから物語らないでくれ - A Sheltered Woman by Yiyun Lee

こんな作家がゴロゴロいるのなら、村上春樹ってまだまだノーベル文学賞を取ったりしないんじゃないか。。イーユン・リーの「独りでいるより優しくて」(篠森ゆりこ訳)という長編小説を今年読んだとき、そう思った。ゴロゴロいるのかは知らないが、イーユン…

続・コミュニケーションに悩む全ての人にオススメの作家 - On the Move: A Life by Oliver Sacks

ひとつ前の記事↓で紹介した、神経科医で作家のオリヴァー・サックスの自伝に関する話の続き。 前の記事にも少し書いたけれど、自閉症などの神経障害患者が単なる治療対象としか見られていなかった70年代や80年代に、オリヴァー・サックスは彼らの内面と向き…

コミュニケーションに悩む全ての人にオススメの作家 - On the Move: A Life by Oliver Sacks

On the Move: A Life 作者: Oliver Sacks 発売日: 2015/04/28 年末になるとメディア上に「今年亡くなった人々」という記事が出たりする。神経科医で作家のオリヴァー・サックスも今年亡くなったうちの一人だ。本書"On the Move: A Life"は、2015年の8月にが…

【番外】パリ同時多発テロ翌日のSNLオープニング

youtu.be "Paris is the city of light. And, here in New York city, we know that light will never go out. Our love and support is with everyone there tonight. We stand with you."「パリは光の街です。そして、ここニューヨークのわたしたちは、そ…